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Father's Interview

消費社会研究家 三浦展氏 (1/2)

 「お父さんインタビュー」は日常的に父親を研究・観察している専門家や有識者の方々を中心に、いまどきの父親像や家族のあり方などについて、インタビュー形式で取材をしていきます。第一五弾として、『下流社会−−新たな階層集団の出現』(光文社)の著者であり、社会構造の変化や男女の消費について研究されている消費社会研究家の三浦展様にお話を伺いました。

“格差”という問題は、男性にどのような影響を及ぼしているのでしょうか?
〜恋愛や仕事の場面において、男性が“自信を持つ”というプロセスに恵まれていない〜

 まず、いまの社会の中に格差が本当にあるのかという議論のひとつの答えにもなると思いますが、そもそもなぜ格差がこれほど問題視叫されるようになったのかというと、大卒の男性であっても、肌身で格差を実感するようになったからだと思います。
 格差というのはいつの時代も存在していましたが、格差の重要な部分が男女差別だったということを忘れてはなりません。女性はいくら四年制大学を卒業しても就職は難しく、むしろ短大のほうが就職しやすかった。女性は男性の補助をする仕事しかできなかったからです。だから就職後も給料は上がらなかった。結局、結婚をして主婦にならざるを得ないというのが一般的でした。
 反対に男性は、能力がさほどなくても部長くらいにはなれました。つまり、かつては格差=男女格差だったわけです。だから男性側が不公平感を実感することがなく、格差が存在することにすら気づかなかったのです。男性は、男女間の格差を、男女の「役割の差」として当然のこととして考えていたからです。
 ところが、この格差(差別)を是正しようと男女雇用機会均等法が整備され、現在では、女性の中でも意欲と能力の高い人は社会でも活躍できる機会が増えました。そこで、能力の劣る男性、学歴のない男性は就職で不利になり、正社員になる機会すら少なくなった。大卒男性ですら就職ができない人が増えた。そこで初めて男性達が社会の中の格差の存在に気付き始めたのです。それが格差という問題が大きくクローズアップされるようになった理由です。
 こうした男女間格差の解消が恋愛にも変化をもたらしています。特に若い世代では、男女平等意識が小さい時から浸透していることもあり、「女性の方の収入が高くてもいい」と考える若い男性は増えています。
 ところが収入の高い女性たちは、自分より収入の高い男性を求めるという傾向は昔から変わりません。その結果として、収入の高い男女同士が結婚し、収入の低い男性は結婚できない傾向が強くなります。すると収入の高低によって、どんな人生を歩めるかという格差が広がり、次第に格差が固定化されていく危険が増大していると言えます。

 また近年「草食男子」という言葉に象徴されるように、若い男性が「恋愛にガツガツしていない」と言われます。私が若い世代を調査した結果からも、収入の少ない、あるいは非正規雇用の男性は、女性に対して自信がないという傾向が見られます。20〜30年前にも恋愛に自信がない男性は沢山いましたが、男女差別があったからこそ、そういう男性でも結婚できたのですが今はそうはいかない。
 それから昔は、日常生活の中で人間同士が直接コミュニケーションする機会が多かったと思いますが、現在では、コンビニやインターネットなどが発達したおかげで、人と会話しなくても生活できます。ゲームの世界では、モテない男性でも、擬似的に恋愛をすることだって出来てしまいます。昔とは違い、自分に自信がない人でも、自分だけの狭い世界だけで安らかに生きていける環境が整備されているのです。
現代は、お金さえあれば、欲しい時に欲しい物が何でもすぐに手に入る「欲望即時充足社会」です。そういう社会では、男女関係においても、最初から完成された異性を求めるようになっていると思います。女性から見れば、コミュニケーションが下手で、仕事もあまりできない男性と付き合うことは、大きなリスクとして捉えられてしまうのです。
 かつては、ダメな男性でも、しっかりした女房がついて、一人前に育てるという美談がよくありましたが、今では、そこまで長期的な視点で夫婦生活を見据えることが少なくなっているように思います。むしろ、このままずっと豊かな生活を確実に送ることができるかということが求められているように思います。
 この傾向は恋愛・結婚だけでなく、就職においても見られます。不況の影響もありますが、企業が一人の社員をじっくり育てていこうとするよりも、すぐに活躍できる即戦力を求める傾向にあります。最初は仕事があまりデキない人を長期的に育てていく余裕が企業にもなくなっている。そういう意味で、社会全体が「不完全なものを育てていく」という母性的な機能を失ってしまっているように思います。

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